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Morph 1.0 リリースのお知らせ

Morph 1.0 リリースのお知らせ

Morph 1.0: データベース・分析ツール・ダッシュボードがひとつに。

本日、Morphの最初のメジャーバージョンであるMorph 1.0が配信されました。

本バージョンによって、ビジネスにおけるデータ業務のすべてを、データベースやデータ分析の専門知識がなくとも扱うことができる、オールインワンツールの提供ができると考えています。

Morphは

  1. 100万行レベルのデータ量を扱うことのできるスケーラブルなデータベース
  2. データ分析を自然言語とビジュアルツールで実行することのできる分析ツール
  3. 分析結果を自由に配置しURLで共有ができるダッシュボード

を備えたオールインワンのデータツールです。

データ業務に従事してきた方ならお分かりかと思いますが、これらは今までバラバラのツールを使う必要があり、それぞれの結果を連携するには、SQLやAPIを経由したデータパイプラインの構築が不可欠でした。データを活用した業務を実施するためには、このすべてのステップを必要とするにも関わらずです。このようなツールの分散は、膨大な構築コストや変更要求に対する時間的なバッファを招き、業務フローの陳腐化の根本的な問題の一つとなっています。

Morphにおいては、データの保管・分析・可視化・活用までがシームレスに連携し、複雑なセットアップや専門知識を必要とせずに、誰もがデータを扱えるように設計されています。

新しい機能や特徴

NotebookはCanvasへと進化しました!

Morph Betaでは、データ分析の場としてNotebookを提供してきました。NotebookはGoogle Colabに代表されるようなJupyter系ツールのイメージで設計され、このメタファーはJupyterを扱ってきたソフトウェアエンジニアなどの人々にとっては受け入れやすいものであったと思います。

しかし、それだけでは不十分だと考えました。

今回のアップデートで、私たちは、2つのことに挑戦しました。ひとつは、非開発者の人々にとってもより扱いやすくすること。もうひとつは、より柔軟でさまざまな要求に答えられる場にすることです。

このようなアイデアの実現にあたり、私たちはFigJamやMiroのようなオンラインホワイトボードに大きなインスピレーションを受けました。

結果として、Notebookは次のような特徴を備え、「Canvas」という名前で生まれ変わりました。

  • 2次元の自由度
  • 多様なセルタイプ
  • 一直線ではなく、自由な分岐が可能なプロセス
  • データソースやダッシュボードへのシームレスな接続

などの特徴を備えています。

Canvasの2つの側面: PlaygroundとDashboard

Canvasは2つの側面を持っています。

一つはPlaygroundと名づけました。これは、データの整理や分析を実行するためのホワイトボードであり、中間ステップやコメントを自由に残すことができます。

もう一つはDashboardと呼んでいます。これは、Playgroundで作成したセルをタイル上に配置することができ、BIツールのように使うことができます。

Canvasを活用するための手順は次のようにシンプルです。

  1. データソースからデータを追加する。SalesforceやStripeなどの外部ツールからのソースの取り込みに対応しています。
  2. ソースからテーブルビューを作成し、データの整形条件を与える。条件パラメータを設定することもできますし、AIクエリによってデータを整形することもできます。
  3. テーブルビューから、AI可視化セルを使ってチャートを作成する。
  4. 成果物をDashboardに追加する。

Canvasにおける変数セル: 柔軟でわかりやすいBIのための全く新しいアイデア

Canvasでは、「変数セル」という新しいセルタイプを扱うことができます。この変数セルは、他のセルから参照することができ、変数セルの値を変えることでテーブルビューの表示やチャートの結果を変えることができます。

このようにオンデマンドでデータ分析の結果を変更する機能は、多くのBIツールでみられる特徴でありながら、Morph Betaでは提供できていませんでした。

一方で、既存のBIツールにも問題があると私たちは考えています。このように結果を変更するための変数設定は、多くの場合とても複雑なセットアップを必要とします。

Canvasにおける変数セルはとてもシンプルです。Canvas上に作成したパイプラインの途中に変数セルを配置することができ、テーブルビューセルやAI可視化セルでは、”@” を入力することで変数を呼び出すことができます。

DashboardのURL・埋め込みによる共有

Dashboardに構築したものをURLで配布したり、Notionなどのツールに埋め込んでチームに共有することが可能です。

シミラリティーサーチ: 意味によるAI検索

Morphは生成AIの技術を活用することで、非開発者の人々にとってもデータを扱いやすくしています。これまでに開発・提供してきたAI機能は次の2つです。

  1. AIクエリ: データベースの内容を自然言語でクエリすることができる機能
  2. AI可視化: チャートの作成を自然言語で実行できる機能

Morph 1.0では、新しいAI機能として「シミラリティーサーチ」を追加しました。

これはその名の通り「意味によるレコードの検索」を実現する機能で、データソースに対して実行することができます。

これがなぜ特別な機能なのか、少し説明をしたいと思います。

一般にデータの検索というのは、内容の一致によって判断されます。

たとえば、国名の一覧を格納したデータソースがあるとしましょう。その中から、「Canada」を検索するためには、「C」「Can」「anada」などの文字を入力することで絞り込みをすることができます。これは、検索対象の中に含まれる文字列の一部分を使ってクエリしているためです。

シミラリティーサーチであれば、「North America」という検索語で「Canada」をヒットすることができます。その名の通り、意味によって両者の類似度を判定しているためです。

もうすこし現実的な例を考えてみましょう。あなたがセールスマネージャーで、商談の記録を保管しているとします。その中から、好意的なリアクションのある商談を絞り込みたいとしたら、どのように検索するでしょうか?「好評」という文字列で検索をかけてみるのも手かもしれませんが、そのような表記が記録の中になければヒットしません。

シミラリティーサーチであれば、そのようなクエリが期待通り動いてくれます。これが、意味による検索がパワフルである理由です。

さらなるアップデートの予定

Morphはこれからも頻繁なアップデートを予定しています。そのいくつかに言及したいと思います。

AI可視化のプリセットの拡充

現在バーチャートやパイチャートなどのいくつかのプリセットを用意していますが、より多様なチャート形式を提供していきます。現時点でも、「フリーフォーム」を選択することで完全に自由な形式のアウトプットを得ることができますが、プリセットによってより便利になります。

権限管理の拡充

現在はデータソースの一つ一つや、Canvasの全体に対して権限を設定することができますが、今後より多くの権限設定の選択肢を提供していきます。

スマートフィールド

新しいフィールドタイプとして、プロンプトによる命令の実行結果を保存する「スマートフィールド」を計画しています。これはデータソースに対して設定できるようになる予定です。